自然の色を纏う、ONTOの染め
柿渋が生む深い色合いは、時とともに変化し、
ものづくりの表情を豊かにしてくれます。
ONTOでは、その移ろいを受けとめながら
手仕事に色を重ねています。
光深 -koumi-
染めて、お日様にあてて、また染めて...
回数を重ねるほどに色が濃く変化してゆきます。
柿渋はタンニンという成分を含むため、防虫効果も。
膜を張り、素材を強く保つ性質もあります。
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原液で染めると、早く濃く染まりますが
生地が硬くごわっとしてしまうので
少し薄めの柿渋液で、
何度も何度も染め重ねて仕上げています。
染めた後に媒染液に浸けると
また違った色合いに変化します。
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(光深の一部の製品には、オーガニックコットンを取り入れています。)
「はじめて仕込んだ、わたし流の柿渋づくり」
2024年に独立、工房を開設し柿渋染めを始めたものの、その年は柿がほとんど実らず仕込みを断念。
翌年の夏、ようやく染料づくりに取りかかることができた時の記録です。
1. 柿を収穫する
夏の終わりに渋柿を摘み取るところから始まる。ここから染料づくりが動き出す。
2. ミキサーで細かくする
収穫した柿をステンレス製ミキサーで細かくしていく。正式な方法は分からないけれど、自分のやり方で進めてみる。柿だけではうまく粉砕されないので、水を少し加えながらミキサーを回す。何度かに分けてブーンとまわしていく。
3. 水を加えて発酵させる
砕いた柿に、実がしっかり浸かるくらいの水を加え、そのまま置いて発酵させる。
10日ほど経つと水が白く濁り、匂いも強くなってくる。発酵が進むと泡がプクプクと出てきて、生きているみたいだ。
数日おきに全体をそっとかき混ぜながら様子を見る時間も楽しみのひとつ。
4. 液を絞る
発酵が落ち着いた頃、まずは粗めのネットで絞る。次に細かいネットで絞り、2段階で液を取り出す。
この時点では、液は澄んでいるわけではなく、白濁した白い色のままだ。
初めは手袋をしていたのに、邪魔になって途中から脱ぎ捨てていた。たくましい腕も記録として残しておく。
5. ペットボトルに詰める
濾した液をペットボトルに移し替えて、ここから長い見守りが始まる。
染料が育っていくには2〜3年かかるという話を聞いているので、気長な付き合いになるのだろうと思う。
白濁した液がこれからどんな赤茶色へ育っていくのか、ゆっくり変わっていく過程が楽しみだ。
このあと、仕上がった液を2Lのペットボトルに移し替えた。
今年できたのは11本、約22リットル。正規の作り方も知らないまま思い切って挑戦したので、量としては決して多くはない。けれど、この少量の仕込みから得られた気づきはとても大きかったように思う。
自分で手を動かしてみることで、発酵が進む様子や、自然がもたらす力の確かさを肌で感じることができた。昔の人がこの営みを理解し、暮らしに取り入れてきたことのすごさにも改めて気づかされる。
結果を急がず、時間にゆだねながらものづくりを楽しむということ。早さだけが価値ではないということ。
そんな当たり前のようで忘れがちなことを、今回の仕込みが教えてくれた気がする。
現在は京都の会社さんの柿渋液を使わせてもらいながら製作を続けているけれど、自分の手で染料を育てていく経験は、これからの作品づくりにも確かな視点を与えてくれると思う。来年また柿が実ってくれたら、同じように仕込みに挑戦したい。
少しずつでも続けていくことで、どんな景色が見えてくるのか楽しみにしている。
染め直しについて
大切にしてきた服を、また着られる一着へ。
最近は、汚れや色あせで出番がなくなった
お気に入りの洋服を、
柿渋で染め直したいというご依頼も増えています。
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「柿渋染め (濃色)」

「柿渋染め (濃色) + 鉄媒染」
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下記ボタンからどうぞ。
ものづくりへの想い
ときめくものを携えながら、
日々の選択の中で
心地よさや豊かさを育てていけたら──
光深 -koumi- の製品が、
その歩みに寄り添えたら嬉しく思います。
柿渋は、光を受けながら色を深め、
時間とともに表情を変えていきます。
使う人の暮らしの中でも、同じように思いが積み重なり、記憶やよろこびが深まっていく。
そんな願いを込めて、柿渋染めの布小物には
サブラインとして「光深 -koumi-」という名前を添えました。
柿渋は自然由来の素材で、
昔から受け継がれてきた知恵のひとつ。
未来に向けても穏やかに寄り添える存在でありたいという想いも込めています。
重ねるほどに色が深まるように、
手にした方の日常にも、心地よさがゆるやかに、
色濃く満ちていきますように。